
「顎関節症は蝶形骨の歪みが原因と聞いたことがあるけど、本当なの?」
「そもそも蝶形骨ってどこ?」
「なんで蝶形骨が顎に影響するの?」
顎関節症の改善方法を調べていると蝶形骨の歪みやズレが原因になっていると書かれている記事を見たことがある方が多いかと思います。
でも、蝶形骨って言われてもどこにあるのか分からないし、なんで蝶形骨が顎に影響しているのかもよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私自身もオステオパシーを学び始める前は「蝶形骨?は?どこ?」という感じでしたので、皆さんが知らなくても無理はありません。
本記事ではそんな蝶形骨と顎の関りを分かりやすく解説していきます。顎関節症にお悩みで、蝶形骨のことが気になるかたはぜひ参考にして頂けたらと思います。
本記事の内容
1.蝶形骨の位置
2.蝶形骨の歪み・ズレとは?
3.蝶形骨と顎関節の関係
まとめ
1. 蝶形骨の形と位置
蝶形骨単体で見るとこのような骨になります。
翼があったり、なんだか蝶々のような形をしているようにも見えます。
だから、蝶の形のような骨なので蝶形骨と名付けられています。
こうして単体で見てみると頭の一体どこにこの骨があるんだろうと思ってしまいますよね。
蝶形骨の位置
頭蓋骨全体の中での蝶形骨の位置はこちらになります。
赤い骨の部分ですね。
蝶形骨の大翼がちょうどこめかみ辺りに位置していることになります。
蝶形骨の連結
蝶形骨は前頭骨、頭頂骨、側頭骨、頬骨、後頭骨という頭蓋骨を構成している骨全てと連結しています。
さらに細かく言うと篩骨や鋤骨ともつながっています。
つまり、頭蓋骨に関わるほとんどの骨と繋がっています。しかも中央辺りで。
だから、蝶形骨の位置がおかしくなったり、歪んでしまうと頭の色々なところに不都合が出てくる可能性があるのです。
そして、中央部分にある影響で他の骨からも影響を受け易いのです。
2.蝶形骨の歪み・ズレとは?
では、蝶形骨の歪み・ズレについて解説していきます。
蝶形骨の歪みというと蝶形骨自体が変形して歪んでくると思いがちですが、実際はそうではありません。
蝶形骨は後頭骨と関節しています。これを蝶形後頭底結合といいます。
頭蓋領域のオステオパシーではこの関節の捻じれやズレから頭蓋骨の歪みのパターンを割り出しています。
蝶形骨と後頭骨の歪み方は動画を見たほうが分かりやすいかと思いますので、こちらを参考にしてください。
蝶形後頭底結合については33秒辺りからです。
これがいわゆる蝶形骨のズレや歪みと言われているものの正体です。
蝶形骨の歪みやズレというのは蝶形骨と後頭骨の関節の歪みや捻じれによって発生しているものなのです。
頭蓋骨の中央部分にある蝶形骨と後頭骨の結合が捻じれてしまうと頭蓋骨全体に影響を及ぼすことが想像できるでしょうか?
誰しもが蝶形骨と後頭骨の捻じれがある。
大切なのは誰しもが蝶形骨と後頭骨の歪みや捻じれは存在しているということです。
完璧に左右対称な頭蓋骨なんて存在しません。
誰しもが歪みを持っています。その歪みが限界を超えたときに症状として表れてきます。
3.蝶形骨と顎関節の関係
蝶形骨と後頭骨の関節の歪みや捻じれは頭蓋骨全体に影響を及ぼします。
蝶形骨は直接顎関節と関節をなしていませんが、間接的にすごく関わっているのです。
後頭骨は頸椎と関節していますので、頸椎からの影響を直接受けます。
蝶形骨と後頭骨は側頭骨と連結していて、側頭骨は顎関節とつながっています。
顎関節症改善に蝶形骨の調整は必須
蝶形骨の位置や関節のつながりから見てみても、顎関節に影響を与えやすい部分であると言えます。
実際、顎関節症の方のお身体を調べてみると蝶形骨と後頭骨の歪みが見つかりますし、それらを解消していくのは顎関節症改善に必須です。
でないと、顎関節のバランスが整わないからですね。
大事なのは頭蓋骨だけではない
ここで本記事を読まれている方に覚えておいていただきたい大事なことがあります。
今までのことを読むと、「じゃあ蝶形骨を調整すれば顎関節症は治るんじゃないのか?」と考えるかと思います。
しかし、実際はそう単純ではないのですね。
少し深掘りをしていきます。
蝶形骨や後頭骨、そして頭蓋骨は脳・脊髄という中枢神経を守るために存在しています。
そんな脳・脊髄を包む膜組織があります。それが硬膜と呼ばれるものです。
ネッター解剖学アトラス第2版より
この硬膜は頭蓋骨の内側に筋膜を介して付着しており、背骨を通って仙骨まで付着しています。
つまり、蝶形骨の歪み=脳硬膜の歪み⇒骨盤の歪み・捻じれにまで発展しているのですね。
だから、蝶形骨だけを調整しても中々上手くいかないし、うまく蝶形骨の歪みやズレというものは解消されないのです。
骨盤や仙骨の位置調整も必要になります。
そして、骨盤が捻じれているということは背骨はもちろん、下肢や上肢まで関連していきます。
顎関節症が全身の問題だということはこういう身体の繋がりから言えることなのです。
まとめ
まとめ
いかがでした?
蝶形骨が顎関節症にどれだけ関わっているのか。
蝶形骨の位置やズレ方など少しでも理解して頂けたら幸いです。
また、蝶形骨のズレや歪みを調整すれば顎関節症は改善するといえるほど単純なものでもないんだなということを知っておいていただけたらと思います。
因みになのですが、しっかりと頭蓋骨と身体の構造を理解し、安全に頭蓋骨の調整を行えるのはオステオパシーだけだと思っています。
頭蓋骨はとても繊細で難しい領域でもありますので施術を受ける際には注意してくださいね。
動画でも分かりやすくお伝えしていますので参考にしてください。
この蝶形骨を整えれば顎関節症は改善する?【顎関節と蝶形骨の関連】を書いた人

丸井恒介(まるいこうすけ)
出身地 | 東京 |
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生年月日 | 1985年2月3日 |
国家資格 | 理学療法士 |
所属 | 全日本オステオパシー協会 日本オステオパシー連合 IOAJ (International Osteopathic Association of Japan) |
経歴 | 平成 21年日本リハビリテーション専門学校入学 日本リハビリテーション専門学校理学療法学科卒業 平成 25年医療法人社団河井病院勤務 平成 25年日本オステオパシー協会入会 平成 27年IOAJ入会 平成 28年府中オステオパシー まるちゃん整体院開業 |
趣味 | ピアノ、筋トレ、バドミントン |