
「開脚180°できたら柔軟性もあるし健康にも良いと思うのだけど」
「できたら開脚180°できるようになりたいなぁ」
「頑張ってストレッチ始めてみようかな」
ちょっと待ってください!
開脚180°のストレッチをして実は股関節を痛めてしまっている方って結構多いんです。
開脚180°できたらすごい、健康に良いみたいな風潮がありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
私のところには開脚180°のストレッチをして逆に股関節を痛めてしまった方や、中には変形性股関節症と診断されてしまうような方までいらっしゃいます。
開脚180°をすることでどうして股関節を痛めてしまうのか、身体にどんな影響が出てしまうのか、開脚180°を勧める風潮の問題点などを伝えていきます。
この記事を書いている私はオステオパシー歴7年、臨床歴9年、理学療法士【国家資格】を取得しており、総合病院で3年間勤務経験があります。
変形性股関節症や股関節の痛みで悩まれる方を整体で改善してきた実績があるので、記事の信頼性に繋がるかと思います。
本記事の内容
開脚180°で痛めてしまう方の例
まずは開脚180°をして股関節を痛めてしまった方の例を紹介します。
無理にやって股関節を痛めてしまう
学生の時に開脚ストレッチを無理に行った際に股関節がゴキっと音を立て、強い痛みが出てしまい、それから股関節が痛くて余り動かせず固くなってしまった。
このような方はとても多いです。無理なストレッチによって股関節周りの靭帯や筋肉を痛めてしまい、痛さを庇い続けることから股関節がどんどん動きが悪くなってしまうというケースです。
柔らかくなりすぎて痛めてしまう
股関節の片方がなんだか痛みが出ていて、整形外科に行ってレントゲンを撮ると股関節の隙間(大腿骨頭と寛骨臼)が狭くなっていたり、大腿骨頭が擦り減っているなどの所見が見られ、「変形性股関節症」と診断されてしまった。
私が病院に勤めていた時にこのような形でリハビリに来られる方がとても多かったです。
その方たちに「何か股関節に悪いことはしていませんか?」と伺うと、大体の場合、「悪いことはしていない」と答えます。
逆に「では、何か股関節のケアのためにしてきたことはありますか?」と伺うと、「私身体はとても柔らかいのよ」とその場で開脚をガバーッとやって見せてくれるような方もいました。
柔らかいことは良いこと、開脚180°できることは健康的だという思い込みのもとやっていたことが実は気付かないうちに股関節を痛めてしまっていたケースです。
なぜ開脚180°の柔軟性がいけないのか
開脚180°できる柔軟性があると、「筋肉が柔らかくて血流が良くなる」「怪我の予防になる」などメリットが伝えられているかと思います。
また多くの有名人や著名人、YouTubeの動画でも開脚180°が良いというような感じで伝えています。
でも、実際私のもとにはこの開脚180°のストレッチをして股関節を痛めてしまったという方がたくさんいらっしゃいます。
なぜ開脚180°のストレッチで股関節を痛めてしまうのか。
医学的用語や運動学的用語として「過可動性」という言葉があります。
過可動性(かかどうせい)
過可動性とは言葉通り、動き過ぎという意味で、関節が正常な動きをしていない状態のことを指します。
関節には個人差はありますが標準的な可動域というものがあります。
その可動域を大幅に超えてしまった可動性がある場合に過可動性といって、一種の病的な関節の動きの状態になってしまいます。
ヨガのインストラクター、バレリーナ、体操選手、関節技をする格闘家など、関節が緩くなりすぎて、体に不調をきたして困っている方というのはたくさんいらっしゃいます。
彼らの場合、現役でやられている時はいいかもしれません。若くて筋力がある時は関節が緩くても筋力で支えることができます。しかし、30代、40代、50代と年齢を重ねていくにつれ、筋力が落ち、体力も落ちてくると今まで筋力で支えられていた関節が支えづらくなってきて、痛みや不調となって身体に現れてきます。
開脚180°も同様のことが起こります。
股関節周りの筋肉や靭帯が緩みすぎ、股関節自体の安定性がなくなってきてしまいます。
10代、20代の時は特に不調が出ないかもしれません。でも、30代~50代にかけて足の筋力が落ちたり、女性の場合ホルモンバランスの変動が起きてくると様々なリスクが現れます。
股関節が安定せず、筋力も落ちることから、股関節の隙間が狭くなってしまったり、大腿骨頭がすり減ってしまうなどの弊害が出ます。
特に女性の場合は骨粗しょう症になりやすい年齢と重なるため、余計に股関節にダメージを与えてしまいやすいのです。
その結果、「変形性股関節症」と診断されてしまうような状態になってしまうのです。
本当に開脚180°は必要か
開脚180°が目標達成の一つ
本やメディア、YouTubeなどで開脚180°出来るとすごい!柔らかい!みたいに見られがちです。
開脚180°が一種の目標達成のようになってしまっているのも問題です。
開脚180°が出来たところで、ただの自己満足であり、運動のパフォーマンスが劇的に上がる訳ではありません。
柔軟性が上がることで、スポーツをする時のケガの予防には繋がるかもしれませんが、そこまでの可動性が必要なスポーツというのは少ないです。
言ってしまえば、ただの自己満足に過ぎません。
本当に開脚180°は必要なのか。
上記したように開脚180°をすることで股関節を痛めるリスクが上がります。変形性股関節症を自ら招くことにもなりかねません。
注意が必要なのは股関節を痛めるリスクが高い30~50代の方です。その方たちがいきなり開脚180°のストレッチをなんか良さそうだから始めてみようというのが、最も股関節を痛めるリスクが高いと言えるでしょう。
日常生活を送るうえで開脚180°できるほどの股関節の柔軟性は必要ありません。
そんな可動性はなくても十分健康的に生きられます。
開脚180°をやってみようか考えていた方はぜひ立ち止まって、本当にその股関節の柔軟性が自分に必要なのかあらためて考えてみて頂けたらと思います。
あなたの大切な股関節を長持ちさせるためにも賢明な判断をしてください。
まとめ
いかがでしたか?
開脚180°が出来たところで、すごいと思われるのは見た目だけです。
逆に将来的に股関節を痛めてしまうリスクが高くなってしまいます。
それで困っている方をたくさん見てきました。
あなたもそうならないように、開脚180°が自分にとって本当に必要なものなのかどうか、メディアや本などに惑わされずに、ご自身で判断して頂けたらと思います。
この実は危ない!開脚180°で股関節痛めてしまう方が続出を書いた人

丸井恒介(まるいこうすけ)
出身地 | 東京 |
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生年月日 | 1985年2月3日 |
国家資格 | 理学療法士 |
所属 | IOAJ (International Osteopathic Association of Japan) |
経歴 | 平成 21年日本リハビリテーション専門学校入学 日本リハビリテーション専門学校理学療法学科卒業 平成 25年医療法人社団河井病院勤務 平成 27年全日本オステオパシー学院卒業 平成 27年IOIAJ入会 ジム ジェラスD.O. トム シェーバーD.O. に師事 |