
「頭痛で整骨院に行ってみたら、頭痛に良いからと言って首をボキボキされた。4回くらい行ってみて、毎回首をボキボキされるけど、頭痛が治まらないどころか今まで痛くなかった背中まで痛くなってきた。」
これは実際に当院に来られた方が言っていた言葉です。
まず、大前提として首をボキボキ鳴らすこと、そして自分でも首を勢いよく捻ってボキっと鳴らすことは危険なことなのだということを知っておいてください。
そのうえで、ボキボキ鳴らすということはどういうことなのか、身体に何が起きているのか、首をボキボキ鳴らすことで起きている事故について解説していきます。
あなたの身体を守るためにもぜひ知っておいて頂きたいことです。
本記事の内容
1.首のボキボキは何が起きているの?
2.首を鳴らすことは何のためにするの?
3.本当に危険な行為
4.私は行いません
まとめ
1.首のボキボキは何が起きているの?
首が痛かったり、頭痛だったり、肩こりだったりで首を振ってパキッと音がするとスッキリしたような感じがするという方は多いです。
このパキッという音は何が起きているのかというと、関節内にある滑液包の泡が弾けて音が鳴ると言われています。
関節のつなぎ目は滑液というネバネバの液体に満たされていて、この液体によって関節がスムーズに動かせるようになります。
この滑液に溶け込んでいる気体が、関節を捻じったりと一定の圧力を加えることで圧が高まり、気体が一か所に貯まって、弾けることで音が鳴ると言われています。
一説では、関節内の気泡を潰して音を鳴らすためには関節内の限局した部分に1トン以上もの力が働くと言われています。
1トンですよ。1トン。
首をボキボキ鳴らしている人は関節内にそれだけの力を加えてしまっているのです。
関節付近にある組織、血管やリンパ、神経などを平気で傷つけかねません。
2.首を鳴らすことは何のためにするの?
では、次に良く整体で首をボキボキしたりしていますよね。
あれが何のために行われているかということを説明していきます。
オステオパシーでもHVLA(スラスト)というテクニックがあり、いわゆる関節をポキッと鳴らすテクニックなのですが、勿論行うための目的があります。
それは関節の可動性をあげることです。
ここが重要なところです。
関節の可動性を上げるために行うものであって、決して元の位置に戻したり、矯正したりというものではありません。
たまに首に限らず胸椎や腰椎の関節ですごく固まってしまっているところがあります。
そういった部分に対してこのスラストを行うと、可動性が上がって、動きがスムーズになり血液・リンパ液の循環が良くなっていきます。
非常に限定された条件の時に行われればとても効果的なテクニックになります。
しかし、一般的な整体やYouTubeなどの動画で流れている首をボキボキしている人たちはこのことを理解していない方が大半です。
右に捻ってボキ、左に捻ってボキ、
関節の至る所をボキボキしています。
頻繁にボキボキされた関節はどうなるのか?
ボキボキ鳴らすという行為は関節にすごい負担をかけます。
関節を補強している靭帯も傷つけます。
ボキボキは可動性を上げる行為です。
そのため、関節の可動性が上がっていくと、関節の安定性がなくなっていきます。
簡単に言うと、ユルユルのズレやすい関節になってしまうのですね。
首を頻繁に鳴らしている人、首のボキボキを何回も受けている人は首の関節がズレて安定していない状態になってしまっています。
そうすると筋肉を緊張させて関節を安定するしかなくなります。
血流・リンパ液の循環が悪くなり首の痛み、頭痛、めまいなどの症状に発展していきます。
3.本当に危険な行為
「でも、別に今までボキボキ鳴らしてきても平気だったし、スッキリしたような感じがするからいいや」と思われている方もまだいるかもしれません。
こう思ってしまう方がいるのも仕方がありません。
日本ではテレビやメディア、最近ではYouTubeなどの動画でもこれらのボキボキ動画が良いものだという誤解を与えるようなものが乱用されてしまっているからです。
確かにボキボキされているところとか、派手で見てて面白いかもしれません。
しかし、その背景では首のボキボキによって毎年たくさんの事故が起きていることをご存知でしょうか?
頭痛がひどくなった、他の部分が痛くなった程度で済んでいればまだマシかもしれません。
(それでも十分に身体への損害ですが)
最悪な場合、脊髄損傷によってマヒになったり、頸部の血管の損傷によって死もありえる話なのです。
アメリカのモデルであるケイティ・メイが34歳で急死したという事件があります。
死因はカイロプラクティックによる頸椎のアジャスト(ボキボキ)でした。
他にもこんな研究結果があります。
厚生労働省でも頸椎に対するボキボキ行為についての危険性と禁止を通知されています。
こうした報告や通達があるにも関わらず、いまだに頸椎のボキボキ行為を続けている整骨院や整体院は山ほどあります。
4.私は行いません
なぜなら危険だからです。
私がオステオパシーを学んでいた学校でも頸椎のスラストは教えてくれませんでしたし、私はそのことは当然だなと感じています。
これは私が通っていたオステオパシーの学校とは別の学校であった話です。
授業中に講師の先生が学生に対して頸椎のスラストを実演したときに、学生が痙攣をおこして救急車を呼ぶ騒ぎになったそうです。(学生は無事だったようですが)
どんなに技術が優れていて上手い人が行ったとしても、万が一の可能性があります。
それが施術を受けた人にとってどうしようもないほどの身体の損傷を招く危険性があるのです。
「おれは腕が良いからそんな失敗は絶対にしない」と思っている施術者こそが一番危険です。
車の運転と一緒ですね。
私がオステオパシーを学んでいて、絶対に守るべき大切なことの一つは
「患者さんの身体を傷つけない」
ということです。
スラスト法よりも安全に効果的に頸椎の状態を改善する方法はあります。
私はそちらの方法を提供しています。
まとめ
首のボキボキは大変な危険をはらんでいる行為だということを少しでも知って頂けたら幸いです。
あなたの身体を守るためにも、自分で首をボキボキするという行為も控えるようになっていただけたらと思います。
この首を鳴らす行為【必読!頭痛、めまい、首の痛みを招く】を書いた人

丸井恒介(まるいこうすけ)
出身地 | 東京 |
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生年月日 | 1985年2月3日 |
国家資格 | 理学療法士 |
所属 | 全日本オステオパシー協会 日本オステオパシー連合 IOAJ (International Osteopathic Association of Japan) |
経歴 | 平成 21年日本リハビリテーション専門学校入学 日本リハビリテーション専門学校理学療法学科卒業 平成 25年医療法人社団河井病院勤務 平成 25年日本オステオパシー協会入会 平成 27年IOAJ入会 平成 28年府中オステオパシー まるちゃん整体院開業 |
趣味 | ピアノ、筋トレ、バドミントン |