横隔膜が固いとどうなる?【横隔膜の位置と働き】

横隔膜の動きが悪くなっている、固くなっていると言われている方
「横隔膜が固くなっている」「横隔膜がちゃんと動いていないよ」「横隔膜が固い?動いていない?ってどういうこと」

 

横隔膜と言うのは人体にとって呼吸に大きく関わる大切な器官です。焼肉で言うと「ハラミ」の部分になりますね。

横隔膜の働きが悪くなると呼吸状態が悪くなってしまうのはもちろんのこと、血液・リンパ液などの体液循環も悪くなってしまいます。横隔膜は姿勢にも大きく影響を与え、横隔膜の働きが悪くなると頭痛、肩こり、背中の痛み・コリ、腰痛、猫背などを招きます。

もしかしたら、あなたは今まで整体や整骨院などで「横隔膜が固くなっている」とか言われたことがあるかもしれませんね。
でも、多分そんなに実感がないでしょう。それもそのはずなんです。

 

そんな横隔膜についてその働きや重要性、横隔膜が固くなってしまうとどうなるのかを解説していきます。

横隔膜の位置


まずは横隔膜の位置についてです。
横隔膜の位置は肺の下辺りにありドーム状の大きな筋肉になっています。

胸郭下口に周りからドーム状に広がっています。横隔膜の上には肺があり、右下には肝臓、左下には胃が隣接しています。

横隔膜は胸骨部、腰椎部、肋骨部にもつながっていて、その筋肉は横隔膜の中心(腱中心)で停止しています。

 

横隔膜を支配する神経

横隔膜は頸神経(頸椎の3番~5番)からの横隔神経によって支配されています。横隔膜は随意筋(自分でコントロール筋肉)でもあり、呼吸のペースや深さなどをある程度自分で調節することもできます。

 

横隔膜にある穴


ネッター解剖学図譜より

横隔膜には身体にとってとても大切な2つの血管と食道が通る穴があります。
大動脈が通る大動脈裂肛、食道が通る食道裂孔、そして、大静脈が通る大静脈孔です。

横隔膜の位置や支配神経、横隔膜にある穴など、解剖学的な要素を見ているだけだと「ふーん」と思うだけかもしれないですね。(私もそうでした(-_-;))

ただ、人体の仕組みを知っていく上で、また、日々身体の不調を訴える方たちのお身体の状態を見て、横隔膜が非常に重要な組織だということが分かってきました。コリや痛み、自律神経に伴う不調を抱えている方はほぼ間違いなく横隔膜の働きが鈍くなっています。
次は横隔膜が固くなる(横隔膜の働きが悪くなってしまう)とどうなってしまうのかということを解説します。

 

横隔膜が固いとどうなる


当然のことですが、呼吸が浅くなります。
ただ、「呼吸が浅いですね」「横隔膜が固くなっていますね」と言われても「ホント?そうなの?」とピンとこない方は多いです。

 

それもそのはずで、横隔膜が急に明日から固くなって動きが悪くなってしまうのではなく、徐々に徐々に鈍くなっていくから自覚症状としては余り感じないことが多いです。(感じないというよりは気付けないといった方が適切かもしれませんね)

つまりは慢性的に徐々に横隔膜の働きが悪く、固くなってきてしまうということですね。
横隔膜は広いドーム状の筋肉なので身体のあらゆる部分に影響します。

 

姿勢への影響


呼吸に関わる胸郭(肋骨・背骨・胸骨)の動きが鈍くなります。
そうすると肩こりや首のコリ・痛み、を感じてくるでしょう。頭部への血流不足から頭痛も感じやすくなります。姿勢も固まって猫背になってきます。その姿勢のままいると腰痛にも発展してくるでしょう。悪いことだらけですね。

 

体液循環への影響

悪くなるのは姿勢だけではありません。身体の中にも多大な悪影響が待っています。
横隔膜を通っている大血管である大動脈や大静脈、そして多くのリンパ経路は横隔膜の呼吸運動に伴う動きで体液循環を促されています。

その呼吸運動の横隔膜の動きが鈍くなると当然体液循環も妨げられ、むくみや体内に老廃物が蓄積されやすくなります。

横隔膜の働きを司る横隔神経は首から出ています。首の歪みや捻じれも横隔膜の働きを悪くする要因になりますね。

横隔膜が固くなり、呼吸が浅く循環が悪くなってくると身体のコリや痛みは治りづらくなってきます。

 

自律神経系への影響

横隔膜が固くなると自律神経系にも悪影響を与えてしまいます。
気付かぬまま呼吸が浅い状態が続くと自然と交感神経の活動も高まってきてしまい、常に落ち着かないような状態になります。

横隔膜の真下にある胃腸の働きも鈍くなり、機能性胃腸症逆流性食道炎を招きます。

交感神経が興奮している状態は身体にとても悪影響を与えます。詳しくは下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】筋膜と自律神経

筋膜と自律神経の関係についてです。
自律神経のバランスは筋膜にもとても影響を与えます。

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横隔膜が固くなってしまうと、コリや痛みだけでなく、身体の体液循環や自律神経系にまで影響が出てしまうのです。
横隔膜がいかに重要な組織なのかが分かって頂けたでしょうか?
私もお客様のお身体を見させて頂いている時は必ず横隔膜の状態をチェックさせて頂いております。
最後に横隔膜の中でよく議題にあがるのは胸式呼吸が良いのか腹式呼吸が良いのかということなのですが、私なりの見解を述べたいと思います。

 

胸式呼吸か腹式呼吸か


主にピラティスなどでは胸式呼吸が推奨されることが多いみたいです。お腹の筋肉を緊張させ、へこませて、胸だけで呼吸をするというやり方です。

逆にヨガや吹奏楽などの楽器を吹くとき、歌を歌う時などは腹式呼吸を学ぶことが多いという印象です。

ただ、ピラティス=胸式呼吸
ヨガ=腹式呼吸

というのも考え方としては浅い感じがします。呼吸はもっと奥深いものですし、全身を使って行うものです。

 

もし今あなたがピラティスやヨガをやられていて、その先生が「胸式呼吸だけをしましょう」「腹式呼吸じゃなきゃだめなんです」みたいな表現をされるようでしたら、その先生は少し勉強不足感が否めませんね。

 

呼吸と言うのは胸式・腹式で分けるものではないと思っています。

 

理想は全身の呼吸です。
つまり、胸式も腹式も両方行うことです。
胸もお腹もしっかり膨らませて息を吸うこと、そして吐くこと。
これが全身の骨格を動かし、体液循環も促進し、自律神経系のバランスを整えます。

 

ただ、全身で呼吸をするというのも一朝一夕にできるものではありません。
ヨーガでいうプラーナ・ヤーマという呼吸法があるのですが、それらの技法を試してみて自分なりに体感して会得するというのが良いでしょう。

 

まとめ

いかがでしたか?
横隔膜が固いと言われたけど、良く分からないという方も、横隔膜と言うのはとても身体にとって大切な働きをしてくれている組織なんだなと改めて感じて頂けたら幸いです。
最初にも書いた通り横隔膜の働きは徐々に徐々に鈍くなっていきます。自覚的に気付けないことが多いので、気付いたら色々な不調に悩まされていたということになりかねません。そうならないためにも、普段から自分の呼吸に意識を向けたり、様々な呼吸法を試してみたりしてみると良いでしょう。

この横隔膜が固いとどうなる?【横隔膜の位置と働き】を書いた人

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丸井恒介(まるいこうすけ)

出身地 東京
生年月日 1985年2月3日
国家資格 理学療法士
所属 全日本オステオパシー協会
日本オステオパシー連合
IOAJ
(International Osteopathic Association of Japan)
経歴 平成 21年日本リハビリテーション専門学校入学
日本リハビリテーション専門学校理学療法学科卒業
平成 25年医療法人社団河井病院勤務
平成 25年日本オステオパシー協会入会
平成 27年IOAJ入会
平成 28年府中オステオパシー まるちゃん整体院開業
趣味 ピアノ、筋トレ、バドミントン
042-302-5447
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