
「筋膜って一体何なの?」
「筋膜リリースって流行ってるけど本当に効くの?」
「筋膜はがしってどうなの?」
「結局ただのストレッチみたいな感じ」
筋膜って一体何なのだろう?筋膜リリースって結局ストレッチみたいなもんじゃん。
そんな筋膜に対してのイメージをお持ちの方は本記事をお読みください。
筋膜とは何なのか、一般的な筋膜リリース・筋膜はがしの実際、そして巷には出回っていないオステオパシー医学に基づく本当の筋膜リリースについて解説していきます。
なぜ一般的な筋膜リリースや筋膜はがしではダメなのか、本当の筋膜リリースとは何なのか、本記事を読むことで筋膜についての正しい知識が身に付くと思います。
筋膜とは?
筋膜の正しい理解
一般的に筋膜について調べてみると筋肉を包んでいる膜組織で全身を包んでいるウェットスーツというような解説が多いです。
この解説も間違いではないのですが、筋膜は筋肉だけを包んでいるものではありません。
筋膜=結合組織という見方が間違いのない見方であり、筋膜は身体の中で一番深いところにある、脳や脊髄を包んでいる脳硬膜も筋膜システムの一部だとされています。脳や神経だけでなく、筋膜は内臓も包んで支えています。肺は胸膜と言ったり、心臓は心膜と名前を変えて筋膜は存在しています。
筋膜束 Willard/Carreiro Collectionより引用
つまり、筋膜とは筋肉だけでなく、脳や神経、内臓、身体の全てを深い部分から表層の部分まで繋げてくれている組織だというようなイメージを持って頂けると良いのではと思います。
巷のイメージだと身体の表層を包んでいるようなイメージになってしまうのですが、実はそうではないのです。
筋膜の歴史
筋膜はここ最近になって日本でも注目され始めましたよね。
実は筋膜の研究が進んできたのはここ30~40年程度なんです。
1960年代で筋膜についての研究論文なんてほとんどなかったみたいです。
昔は解剖中でもどけて捨ててしまうようなものだったみたいで、科学としても筋膜に注目が集まってきたのはここ最近のことなのです。
しかし、オステオパシーの創始者であるスティル博士は100年前から筋膜の重要性について唱えていました。
スティルの筋膜に対する見方
•筋膜は、疾病の原因を探る部分であり、あらゆる疾病への対処を開始する部分です。
•それに成功するか否かが生死を分けるのです。
•死による生命の破壊の原因は、筋膜で生じています。
•ここで白血球が形成され、身体に不要となった不純物が皮膚と貯蔵部をつなぐチューブを通って体外に排出されます。
•筋膜に神経が存在することは疑いようがありません。液体は気滞に変えられ、スポンジ状の多孔性組織を取って配給され、神経を清潔な状態に保ち続けるためにそれが繰り返されます。
出典:Philosophy of Osteopathy, A.T.Still,1900
筋膜についてほとんど研究や論文がない時代にこれだけ筋膜への理解や知識を深めていたということは本当にスティルは人体についてのパイオニアだったと言えるのではないでしょうか。
筋膜にはたくさんの機能があります。
血管やリンパの通り道になっているのはもちろんのこと、痛みの神経が走っているとも言われています。
また、自律神経系とも大きく関わりを持っています。
筋膜リリース、筋膜はがしの実際
一般的な筋膜リリース・筋膜はがし
今までのところを読んで頂いてなんとなく察しがついた方もいるかもしれません。
そうです。
今、一般的に言われている筋膜リリースや筋膜はがしは表層の部分の筋肉を包んでいると言われている部分に対してのアプローチに過ぎないのですね。
筋膜と筋肉の癒着をはがしたり、そこの動きを滑らかにすることで運動機能を回復させるという手段になりますが、実はこれでは改善しない部分がたくさんあります。
一般的な筋膜リリース・筋膜はがしでは身体の深いところには届かない
筋膜とは身体の最も深い脳と脊髄を包んでいる膜組織でもあり、内臓を包む膜組織でもあります。
筋肉や身体の表層の全身を包んでいる膜としてみてしまうと肝心なことを見落としてしまいます。
それが身体の深い部分の筋膜組織になります。
イメージしてみてください。
身体の内側の筋膜に動きの制限や滞り、癒着があったとした時に、一般的な身体の表層への筋膜リリースや筋膜はがしをしてみて果たして改善がみられるでしょうか?
専門的に言うとそれは浅層(身体から浅い層の筋膜)筋膜リリースにすぎません。
身体の深い部分の筋膜までしっかりとアプローチできる。
それがオステオパシーの筋膜リリースです。
身体の深い部分まで解放するオステオパシーの筋膜リリース
身体の深い部分までリリースさせると物凄い力を使ったり、すごい恰好をしないといけないと考えるかもしれません。
でも、実際はそうではありません。
オステオパシーの特殊なテクニックを用います。ゆっくりと奥の方の筋膜が動いてくれるように優しく触れてモニターします。
頭蓋仙骨療法もこの要領で行いますね。
身体の深いところからゆっくり筋膜の捻じれや硬さが取れてくるのを待つというような施術です。受けていてとても心地いいものですよ。
このテクニックは繊細な触診力と、解剖学的な知識が必要です。
触れているだけのように見えて実は身体の深い部分から筋膜組織をリリースして骨格を正常化しています。

全身を包む筋膜の捻じれや硬さを解消する手法です。
普通の筋膜リリースのように無理に伸ばしたり押したりすることはありません。
痛みやしびえ、自律神経の不調など長期的な身体的ストレスにさらされている人は、筋膜自体も乾燥し固くなり、傷つきやすい状態にあります。
そんな状態の筋膜を傷つけることなく、当院独自のソフトな手法で優しく捻じれや硬さを解消していきます。非常に穏やかな手法で受けていて「とても気持ちいい」と言われる方も多いです。
まとめ
いかがでしたか?
筋膜を全身を包む膜組織というイメージが先行していますが、実はそうではなく身体の奥深くから全身をつないでくれているものなのだなと理解が深まって頂けたら幸いです。
そして、その筋膜をしっかりとリリースするためには、表層の筋膜リリースや筋膜はがしだけでは不十分なのです。身体の奥深いところにアプローチできるのはオステオパシーの魅力だと思います。
参考文献
人体の張力ネットワーク 膜・筋膜 竹井仁監訳 医歯薬出版株式会社
この筋膜とは?【巷には出回っていない本当の筋膜リリース】を書いた人

丸井恒介(まるいこうすけ)
出身地 | 東京 |
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生年月日 | 1985年2月3日 |
国家資格 | 理学療法士 |
所属 | 全日本オステオパシー協会 日本オステオパシー連合 IOAJ (International Osteopathic Association of Japan) |
経歴 | 平成 21年日本リハビリテーション専門学校入学 日本リハビリテーション専門学校理学療法学科卒業 平成 25年医療法人社団河井病院勤務 平成 25年日本オステオパシー協会入会 平成 27年IOAJ入会 平成 28年府中オステオパシー まるちゃん整体院開業 |
趣味 | ピアノ、筋トレ、バドミントン |