
オステオパシーのテクニックでストレインカウンターストレインという方法があります。
とても効果的で尚且つ負担も少ないテクニックで、当院でも良く行っているテクニックの一つになります。
最近では○○ンパシーというようにこのテクニックを模倣して名前を付けて売り出しているものもありますが、カウンターストレインは筋肉だけでなく関節や頭蓋骨、内臓など身体のあらゆるところに応用できるテクニックです。
トリガーポイントを重要視しているところも多いですが、カウンターストレインはテンダーポイントを重要に見ています。トリガーポイントの治療を受けていて中々改善されないという方は本記事を参考にして頂けたらと思います。
そんなカウンターストレインについて解説していきます。
本記事の内容
1.カウンターストレインの歴史
2.カウンターストレインの流れ
3.トリガーポイントよりもテンダーポイント
まとめ
カウンターストレインの歴史
カウンターストレインはオステオパシー・ドクターであるLawrence H.Jonesによって開発された診断と治療です。
ジョーンズ博士がカウンターストレインを発見するに当たった経緯についてです。
楽な姿勢を探すだけ
ジョーンズ博士の診療所に30代の若い男性が訪れたことがあります。
彼は4か月もの間腰痛に苦しんでいました。その3分の一の期間をジョーンズ博士が治療(施術)していたようなのですが、一向に改善は見られませんでした。
当時、ジョーンズ博士が知っている限りの技法(スラスト法や筋エネルギーテクニックなど)を施したようですが、どれもうまくいかなかったようです。
患者さんは夜も痛みで眠れず15分に一回は目が覚めてしまうと良い、ジョーンズ博士はこういう人は睡眠薬のとりこになってしまうと恐れ、出来る限りそうならないようになんとかしようと努めました。
とりあえず痛みがないように眠れることが大事だと考え、ベッドの上に寝かして痛みがなくなる楽な姿勢を探しました。
20分ほどして、この姿勢は痛みがなく楽だという姿勢が見つかりました。痛みもなくて気持ちがいいという姿勢なのですが、はたから見たらとても窮屈で不格好な姿勢だったそうです。
せっかく痛みがなく楽な姿勢になれたようだから、このまま起こすと悪いと思って、次の患者さんの治療に行っている間、そのままの姿勢で快感を味わっているようにと伝えました。
治療から帰ってきて、患者さんももとの姿勢に戻るように伝えました。そうして立ってみると腰の痛みがなくなっていたのです。
4か月もの間必死に治療してきて改善がみられなかった腰痛がこのようにして治るなんて夢にも思っていなかったことで、ジョーンズ博士はこの現象は何が起こったのか、どういうことをすればいいのかということを研究しました。
そして生まれたのがカウンターストレインというテクニックです。
2.カウンターストレインの流れ
カウンターストレインを開発しているうちにある一定の法則が分かってきて、それを体系化しました。
圧痛点(テンダーポイント)を見つける
疼痛がある部位の反対側(拮抗筋)に圧痛点があることが多いことが分かりました。
例えば、腰が痛いのであればお腹側に圧痛点があります。
圧痛点とは押さない限り痛みが出ることはありません。
周りの組織に比べて4倍ほど敏感で軽く押しても痛みを感じるポイントです。
なぜ、この圧痛点が出来てしまうのかを簡単に説明します。
下の図を見てください。
テンダーポイントというのはトリガーポイントの反対に出来ます。
テンダーポイントは伸びきってしまっていてできている状態です。その逆でテンダーポイントは縮まって筋肉が固くなって出来てしまいます。
だから、普段から痛みや違和感を感じるのはトリガーポイント側なのですが、本当に解消しなきゃいけないのはテンダーポイントになります。
分かりやすく腰痛の例だとこのような感じですね。
縮まっているお腹側にテンダーポイントがあり、それを解消させていくことで身体のバランスが取れて痛みが改善していきます。
なぜ、テンダーポイントが出来てしまうかというと筋肉の異常と脳と神経の異常な反射による影響だと言われています。
脳と神経の異常な反射と言われても正直良く分からないですよね(;’∀’)
簡単な例でぎっくり腰をあげてみます。
しゃがんでいて、立ち上がる時にギクッとなってしまったりしますよね。
あれも神経の異常な反射によって筋肉が過緊張してしまっているのです。
しゃがんで丸まっている状態(テンダーポイント側)を脳や神経が覚えていて、
そこから急に立ち上がると丸まっていた筋肉が急に引き伸ばされることになります。
そうすると今まで丸まっていたのが普通だと思っていたのに急に伸ばされたことに対して脳や神経が反応できなくなってしまいます。
その結果、身体は伸びたいのに、筋肉は丸まっているのが普通だと思い込んでしまってそこで緊張して固まってしまいます。
それがテンダーポイントとなって身体に現れるのです。
このテンダーポイントは5分同じ姿勢をしていると出来てしまうと言われていますので、余り長い時間同じ姿勢でいるということは身体にとって好ましいことではないということですね。
圧痛が楽になる姿勢にする
圧痛点が押しても痛くなくなるようになるよう姿勢を探します。
その姿勢が見つかったらその姿勢のまま90秒以上待ちます。
ゆっくり戻していく
その後、もとの位置にゆっくり戻します。この時に、受けている人は力を入れずに完全に力を抜いた状態で、施術者がゆっくりと戻していきます。
圧痛点の再確認
もう一度圧痛点を押してみると軽減・もしくは消失していれば成功です。
施術後呼吸が楽になっていたり、姿勢の変化を実感できるでしょう。
カウンターストレインはこのような流れで行っていきます。
トリガーポイントよりもテンダーポイント
トリガーポイントの治療を受けていて、中々改善が見られない方はこのテンダーポイント(圧痛点)が解消されていない可能性が高いです。
例えば、腰が痛いからと言って、腰にトリガーポイントがあるから腰のトリガーポイントを刺激したりストレッチをしたりとするかもしれません。でも、本当に重要なのはその反対側にあるテンダーポイントだったりするんです。
そこを間違えて腰ばっかりにアプローチをしていると初期のジョーンズ博士と同じ間違いをしてしまうということになります。
トリガーポイント系の治療を受けていて、改善していない場合は、カウンターストレインが行えるオステオパシー施術を試してみるといいでしょう。
まとめ
カウンターストレインは楽な姿勢にするというコンセプトから開発されたテクニックです。
トリガーポイント系の治療では楽にならない方はカウンターストレインで重要視しているテンダーポイントを見落とされている可能性があります。
痛みがある部位の反対側を疑ってみましょう。
このカウンターストレイン【トリガーポイントよりテンダーポイント】を書いた人

丸井恒介(まるいこうすけ)
出身地 | 東京 |
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生年月日 | 1985年2月3日 |
国家資格 | 理学療法士 |
所属 | 全日本オステオパシー協会 日本オステオパシー連合 IOAJ (International Osteopathic Association of Japan) |
経歴 | 平成 21年日本リハビリテーション専門学校入学 日本リハビリテーション専門学校理学療法学科卒業 平成 25年医療法人社団河井病院勤務 平成 25年日本オステオパシー協会入会 平成 27年IOAJ入会 平成 28年府中オステオパシー まるちゃん整体院開業 |
趣味 | ピアノ、筋トレ、バドミントン |