クラニアルセラピー(頭蓋領域のオステオパシー)

脳の機能低下、疲労、過剰な興奮も痛みや不調の原因です。

脳の働きは思考や感情、記憶をすることだけではありません。
血圧、体温調節、体内時計、ホルモン分泌、内臓の働きなど身体の全ての生命に必要な活動をコントロールしています。

 

 

脳が自律神経やホルモンのコントロールを適切に行えていれば、人間は健康な状態を維持できます。
しかし、長期的なストレスに脳がさらされると、脳は疲弊したり、過剰に興奮してしまうなどの機能低下を起こし心身ともに様々な不調が出始めます。

 

 

 

当院ではそんな脳の状態を良くするための施術にも力を入れて取り組んでおります。

 

そんなクラニアルセラピーを本記事では、一般の方でも理解しやすいように出来るだけ分かりやすく解説したいと思います。

 

府中オステオパシーまるちゃん整体院の丸井恒介です。

 

この記事を書いている私はオステオパシー歴11年、理学療法士【国家資格】を取得しており、総合病院で3年間勤務経験があります。

本来オステオパシードクターしか学べない「頭蓋領域のオステオパシー」のコースをトーマス・クロウD.O.から直接学んでいるため、記事の信頼性につながるかと思います。

 

クラニアルセラピー(頭蓋領域のオステオパシー)とは

クラニアル Cranial とは英語で頭蓋骨のことです。
脳や神経の働きを低下させる要因はいくつかあります。

 

「脳脊髄液の循環不全」、「頭蓋骨の歪みに伴う頭蓋内膜の捻じれによっておこる脳の血流・リンパ流のうっ滞」、「頭蓋骨の歪みに伴う脳神経への圧迫や伸張」が原因となって起こります。

 

頭蓋領域のオステオパシーでは「頭蓋骨の歪み・ズレ」「頭蓋内膜の捻じれ」を調整し、「脳脊髄液の循環」「血液・リンパ循環」を良くして脳や神経の働きを正常化していきます。

 

脳・神経の働きが適切に行われることで自然治癒力が発揮されやすい身体になります。
身体の様々な不調を改善していくことを目的として行っています。

 

 

脳脊髄液とは

脳脊髄液とは、脳室系とクモ膜下腔を満たす、リンパ液のように無色透明な液体です。
弱アルカリ性であり、細胞成分はほとんど含まれません。

 

脳脊髄液は脳や背骨の中の脊髄神経周囲を循環しています。
脳脊髄液の産生と排出によって脳内への栄養分を補給し、老廃物を排出する役目があります。

 

常に150ml程度が存在していますが、1日の生産量は約500mlと言われています。
1日の間に3~4回入れ替わっていると考えられています。
脳や神経の代謝にとても関わっている人体にとって必要不可欠な液体です。

 

 

 

脳脊髄液の働き

1.脳や脊髄神経の保護

頭蓋骨内の脳脊髄液は脳にとって緩衝材のような役目を果たしています。
閉ざされた容器内を満たすイメージでその中に脳が浮かんでいるようになっています。
そのおかげで周りにある脳神経や血管などを圧迫しないようにしています。

 

 

2.脳の代謝

脳細胞に栄養を運び、老廃物を排出させる役目があります。

 

脳が生きていくために必要不可欠な液体になります。
特に睡眠時に脳に貯まっている老廃物を搬出してくれるという報告もあり、この老廃物が蓄積することによって脳の様々な病気、うつ病や認知症になりやすいという説もあります。

 

 

3.下垂体後葉からのホルモン分泌物を運ぶ

脳の下垂体からは身体に対して様々なホルモンを分泌するように刺激する物質を放出します。
そのホルモン刺激物質を運搬する役目もあります。
ホルモンの分泌が適切に促されないと様々な不調につながります。

 

 

 

脳脊髄液の流れ

脳脊髄液は脳内の「側脳室」、「第3脳室」、「第4脳室」の脈絡叢(みゃくらくそう)で産生されます。

 

産生された脳脊髄液は脳周囲を循環し、一部は背骨の中の脊髄神経に流れ込みます。
脳内で循環している脳脊髄液は脳内の静脈に再吸収されますが、脊髄神経に入った脳脊髄液はそのまま骨盤や仙骨の方まで流れていきます。
末端の脊髄神経を流れてそのまま静脈やリンパ液に混ざり再吸収されます。

 


ネッター解剖学図譜より

 

 

頭蓋内膜について

頭蓋骨の中には脳を包むための膜組織があり、その中で脳脊髄液も循環しています。

 

その頭蓋内膜は脳硬膜、くも膜、軟膜の3層から出来ています。

ネッター解剖学図譜より

 

この膜組織が頭蓋骨全体の均衡を守り、動きを補助・制御・制限する役割を担っています。
因みに脳脊髄液はくも膜と軟膜の間のくも膜下腔を流れています。

 

 

脳硬膜は内側・外側と2層あって、外側はそのまま骨膜として骨に付着しています。
内側は大脳鎌(だいのうがま)、小脳テントとなって脳の間に伸びています。

 

脳硬膜の層が重ならない部分には硬膜静脈洞という大きな静脈があり、脳の老廃物を排出させるために重要な部分になります。

 

 

 

頭蓋骨の歪み・捻じれはそのまま頭蓋内膜の捻じれにつながります。

 

頭蓋内膜は一定の緊張でお互いの張力のバランスを保っていますが、頭蓋骨が歪むとそのバランスが崩れてしまいます。
その結果、脳脊髄液の循環不良や脳内血液循環が妨げられます。

 

 

脳硬膜はそのまま脊髄神経も包み骨盤・仙骨まで繋がっている


脳硬膜は脳だけでなくそのまま背骨を通る脊髄神経も包んでいます。
脊髄神経は骨盤・仙骨まで続いています。
脊髄硬膜は仙骨に強く付着しています。

 

このことから分かるように、骨盤や仙骨の状態が頭蓋骨にとても影響を与えます。

 

 

 

仙骨の歪み・捻じれの影響

仙骨の歪み・捻じれによって大脳半球に静脈うっ血が生じてしまうことがしばしばあることが報告されています。
また仙骨の歪みからくる頭蓋内膜への影響により、松果体の可動性や自動運動性が制限され、サーカディアンリズムが狂うことがあります。
このような状況は女性の月経期や出産での精神的な不調に関係することがありと言われています。

 

子宮広間膜や子宮変位、子宮下垂など様々な影響が出ます。

 

 

頭蓋骨が歪み・捻じれると脳脊髄液の循環も悪くなる

頭蓋骨の歪み・捻じれは脳内に様々な影響を及ぼします。脳脊髄液の循環状態も悪くなってしまいます。

 

 

頭蓋骨は1個の骨で成り立っているのではなく、23個のパーツが組み合わさって構成されています。

 

関節になっている部分や縫合のようになっていてパズルのように組み合わさっています。
その頭蓋骨の関節や縫合がほんの僅かに動くことが分かっています。
世間では美容整体や小顔矯正と言ってその隙間を埋めることで小顔にすると言っていたりしますが、実はそれは大変危険な行為です。

 

 

 

頭蓋骨の関節や縫合がほんのわずかに動くことで、脳脊髄液の産生と排出に伴うリズミカルな動きが生まれます。
そのリズムは頭蓋内膜を通じて仙骨まで通じています。
その関節や縫合の動きがある分、日常生活や普段の姿勢が影響して徐々に頭蓋骨も歪み・捻じれていきます。

 

 

 

1.脳脊髄液が循環するくも膜下腔というスペースが捻じれ・潰れた状態になる
2.脳脊髄液の循環に伴う頭蓋骨の動きが悪くなってしまう

 

 

ということが起きてしまいます。
その結果、脳脊髄液の循環不良と言うものが起きてしまい、不調を引き起こす原因となります。

 

 

脳脊髄液の循環不全によって起こる身体の不調

脳脊髄液の循環が悪くなると脳内への栄養補給や老廃物の排出が滞ってしまいます。その影響で脳や神経の働きが次第に悪くなっていきます。自然治癒力が低下し、身体に様々な痛みや不調となって現れてしまうと考えられています。
脳脊髄液の循環が悪くて起きてしまう痛みや不調の例です。

 

 

1.脳圧が上昇して起こる症状

うつ、自律神経失調症、認知症、慢性疲労症候群、発達障害など

ああ

頭痛、耳鳴り、めまい、中耳炎、副鼻腔炎など
脳脊髄液の循環が悪くなると真っ先に起こるのが脳内静脈のうっ滞です。うっ滞がおこることで脳内の圧力が上がり、様々な機能に影響を及ぼします。頭痛やめまいが起こりやすくなります。また、内耳にあるリンパ管の圧も高まることで耳への不調も発生しやすくなります。

 

2.脳や神経への栄養補給・老廃物の排出不全によって起こる影響

自律神経失調症、うつ、不眠、内臓の疲労、ホルモンの乱れ、不妊、更年期障害、胃腸の不調(機能性胃腸症・過敏性腸症候群など)
脳や神経へ十分な栄養補給と老廃物の排出が滞ることで脳の機能低下を招きます。身体に様々な不調が出始めます。
第4脳室の生理中枢では特に心臓、呼吸、血管運動中枢の刺激過剰が関与しています。その結果、うつや更年期に伴うめまい、動悸、冷えや冷感、悪心、嘔吐、ヒステリーなどの不調も現れます。

 

3.脳に老廃物が蓄積して起こる影響

うつ、自律神経失調症、認知症、慢性疲労症候群、発達障害など
脳や神経の代謝が悪くなってくると、次第に脳内に老廃物が蓄積していきます。本来ならば脳脊髄液によって脳の老廃物を洗い流してくれます。しかし、脳脊髄液の循環が悪くなると脳内の老廃物が蓄積し、神経細胞の働きが悪くなります。この状態が長期間続くと神経細胞は変性し次第に脳が萎縮してくると言われています。代表的な物質がアミロイドという物質ですね。アルツハイマー型認知症の方はこのアミロイドの沈着によって脳が萎縮して起こると言われています。
また頭蓋骨の歪み・捻じれが強い場合、それが小さい発達が著しい時に起こると様々な弊害が生じる可能性があります。頭蓋骨の歪みにより、ホルモンを分泌するための下垂体が片側に引っ張られてしまうと下垂体の発達に支障が生じます。成長代謝や行動に支障が出てしまいます。

 

 

 

クラニアルセラピーの施術方法
頭蓋骨の歪み・ズレを正して、頭蓋内膜の緊張バランスを取り、脳脊髄液の循環を改善することを目的に行います。
頭蓋骨はとても繊細な組織です。無理に動かしたり、強い圧を加えて施術を行うことは危険ですので、行いません。
軽く優しい圧(グラム単位)を加えることで、ゆっくりと頭蓋骨の歪み・捻じれを正していきます。頭蓋骨が本来のリズミカルな動きが出来るようにし、脳脊髄液の循環を正常にしていきます。
手の微妙な感覚が全ての繊細な施術方法なので、施術効果は施術者の知識や経験・センスに大きく左右されます。
施術を受けている方からは「気持ちよくて眠くなってしまう」というお言葉を頂いております。実際に施術中は眠ってしまう方が大半です。

 

また、頭蓋内膜の繋がりからも頭だけを施術すれば良いというわけではありません。骨盤・仙骨含め身体全体のバランスが頭蓋骨の状態に現れます。頭蓋骨への施術はもちろん身体全体への施術を行うのも当院の特徴です。

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